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二度ある事は三度ある・・・かな それとも四度か五度か? 

経験上思い知らされたことや、先輩整備士からの教えで 業界独特のジンクスや言い伝えの類が存在します。

「おい! 若いの  でんぼと自動車屋は、大ーきなったら
   潰(ツブ)れるからな!! 背伸びしたらあかん。」

これはT型フォードの整備経験も有る、私の大先輩の職人さんからの教えです。

でんぼ」とは、吹き出物の類を総称して、そう呼びますが、今はあまり使わなくなりました。

他の人が言うかどうかは知りませんが、手を広げすぎると上手くいかなくなる事を、吹き出物が大きくなって潰れることに掛けて言ったようです。



ここからは、私達の経験から感じること。


スタッフのフクチャンが、文字通り腰をすえての作業です。

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ツインスパークエンジンのR1150RT。


カウルやマフラーが取り外され、ファイナルギアケースも、左に置かれています。

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通常の車輌のスイングアームに相当する、パラレバーアームもこの後取り外して・・・


取り出したのは、6速のミッションケース。

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真ん中のシャフトのスプライン(シャフトに平行な溝)に取り付くのは、3点で構成されているクラッチの、クラッチディスクで、写真一番手前。  ↓

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             ↑
この3点は、クラッチディスクを他の2枚で挟み込んで、エンジン側に組み付けた状態で、ミッションをエンジンに取り付けて、先ほどのスプラインをクラッチディスクに差し込みます。


「頑張ったら、クラッチが滑るみたいやねん」
こんなお話で入庫したRTでしたが、取り外したクラッチディスクの表面をよくご覧いただくと、分かるでしょうか?
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丸い穴に見えるリベットの部分で見る残りの量はまだ有りそうですが、オイルで湿っています。
ミッションオイル? クラッチオイル? それともエンジンオイル?


挟み込んでいる鉄のプレートにも、少しオイルっぽいシミが着いています。

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今回のクラッチ滑りの原因は、クラッチレリーズでした。

07-120427.jpg
油圧式のクラッチの場合、クラッチレバーを握ると、オイルがホース中を流れてクラッチレリーズの小さなシリンダーに流れ込み、小さなピストンを押し出して、クラッチに作用します。



この部分から、オイルが滲み出して前方に回りこんで、クラッチディスクを浸潤させたようです。
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ミッションオイルやクラッチオイルに浸かったクラッチディスクを昔4輪の頃には、鍋で炊いたりしてオイルっけを取り去り再利用した事もありましたが、長い目で見ると結局再整備になる事が多いので、ここは新品のディスクとレリーズを調達しましょう。


これは、車輌が替わっていますが、チタンシルバーR1150GS。

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構造は、先のR1150RTとほとんど同じですが、こちらは年式の違いでシングルスパークエンジンの平成11年モデル。

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このGSは、個人売買での入手で これから長く乗りたいとの事で、入庫しました。


エンジンとミッションの合わせ目からオイル汚れが出ていたので、セルモーターを取り外してクラッチの部分を確認すると、RT同様クラッチディスクがオイルで汚れた状態です。
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ミッションを後方から見ていますが、真ん中のグリーンのパッキンが残る部分にクラッチレリーズが取り付きます。
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クラッチレリーズもソウなんですが、こちらのドライブシャフトが入る部分のオイルシールからミッションオイルが流れ出ています。
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オイルが流れていた部分のリブが、きれいに洗い流されています。

ココから漏れると、パラレバーを伝ってファイナルギアケースの前のブーツを汚すことになります。


ミッションの前側から見ていますが、真ん中のスプラインが赤茶色ですね。

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スプラインの下側には、やはりオイルの流れた痕跡が見てとれます。
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ミッションのリアシールとフロントシール共に交換が必要なようです。

R1150GSのクラッチセット、RTの写真に写っていなかった物は、ダイアフラム型のスプリングです。
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このスプリングの反発力で、クラッチディスクを鉄板で挟み込んで、その摩擦抵抗でバイクを走らせています。
摩擦抵抗がエンジンの動力に負けると、「クラッチの滑り」が発生します。

摩擦抵抗が負ける原因としては、エンジンオイルやミッションオイル、クラッチオイルなどが付着した時以外には、磨耗でクラッチディスクの厚みが薄くなり、スプリングの圧着圧力が少なくなった時にも発生します。


赤茶色の錆が出ていた、ミッションの真ん中のスプラインが入っていたクラッチディスク。

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裏返してみると、山がかなりとんがっているのがお分かりでしょうか。
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以前 この部分と相手側が完全に「なめて」走行不能になった車輌もありました。


クラッチ交換車輌の置き土産?

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左から、ミッションオイルが浸み込んだR1150GS、クラッチオイルが浸み込んだR1150RT、一番右は定期点検で交換したR1100GS。
大きさの違いもあります。


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 ↑1150 スプラインの山の数が違います。 ↓1100
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したがって、ミッションのシャフトも違います。

クラッチディスクのスプラインが入るミッション前のシャフト。
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   比較的正常。

シール交換やベアリングの交換でミッションを分解。

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先ほどの赤茶色のシャフトがコレ。

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長期間グリスが切れた状態だったのでしょう。

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磨耗しているのが見えます。
次回のクラッチディスク交換の際にはシャフトの交換も必要になるでしょうね。


これは、ミッションから動力が出て行くシャフト。

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普通のバイクのスイングアームに相当するパラレバーアームの中を通る、ドライブシャフトに繋がります。
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    まったくもって正常。



この部分はファイナルギアケースに入りますが、エンジンの動力がクラッチに入り先ず最初のスプライン。
次はミッション出口のスプライン。
そして、ココにもスプライン。
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何箇所にもスプラインが用いられていますが、少し考えてみてください。
エンジンで発生した回転力が、回転速度は変わりますが、回転方向は同じままです。
シャフトドライブを用いるバイクの中では合理的な構造だと思いませんか。


この部分にセルモーターが付くのですが、取り外すとクラッチの残量の確認やシールからのオイル漏れの有無の一部を確認できます。
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異常が見つかれば、この状態にしなくてはクラッチディスクやオイルシールは交換できません。
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取り外した状態で、普段余りお目にかかれない場所を撮影。

フライホイールのリングギア。
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セルモーターの先端のギアが噛み込んで、エンジンを回転させるためのギアです。

セルモーターのギアは常時噛み込んで一緒に回っているのでは有りません。
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セルのボタンを押さえている時にだけ、セルのギアが飛び出して、このリングギアに噛み込むのです。
飛び出したギアはリングギアーに回りながら飛び込むので、セルのボタンを押すと、ご存知の大きな音がするのです。
360度切られているリングギアですが、飛び込む場所は通常毎回同じ場所の前後に限られます。
  
 なぜでしょうね?・・・ 



セルモーターの取り付け時に位置決めをし易いように、「ノック」が付いています。
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  こんなふうーーにっと。
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ほら、セルのギアーはリングギアには届いていません。

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通常時のセルモーターのピニオンギアの位置。

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指で送り出すと、ここまで出ます。
38-120427.jpg
この状態でセルはリングギアを回します。


今までのセルモーターはR1150RTのツインスパークの写真でした。
これが、先ほどのシングルスパークGSのセル。
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   拡大して先のRTのセルと違いがあるのですが・・・。
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ピニオンギア、リングギア、共に金属ですがピニオンギアの方が硬質な材料で出来ています。
硬質なピニオンギアがリングギアに配慮した形にはなっていますが、長年使用し続けるとピニオンギア、リングギア共に交換の必要に迫られることもあるはずです。
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リングギアの磨耗はピニオンギアが飛び込み、回し始めるときに起こりやすいのですが、それは大半がピストンの圧縮行程部分の前後です。
エンジンを止めた際に、通常は圧縮行程で止まる事が多いからです。
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ピニオンギアとリングギアが噛み込んでしまえば少々長く回しても磨耗には繋がりにくいと思います。

このままの状態で部品待ちになりました。 ココまでの作業は、安全対策は必要ですがセンタースタンドで可能です。


このままで、場所の移動。
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移動したGSの拡大写真、クラッチレリーズ。
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コレも漏れてました。
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伝承・・・ 車やバイクにも病気はある、そしてはやりやまいも。

次もクラッチ交換の可能性のあるバイクを何台かお聞きしています。

  はやりやまいとは言え、うつりませんからご安心下さい。

でも、なぜか同じ様な症状のお話を、同じ時期にお聞きすることが多いのも事実です。







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