エンジンオイルとBMWのピストン
8月から使い始めた軽トラックの、尻尾号が走行距離6,000キロを
こえました。
前回の交換から5,000キロ走りましたが、どうも「しっくり」来ない
ので 少し早めにエンジンオイルの交換をしよう思います。
1,000キロ走行時点でメーカーの工場で入れてあったオイルを
100パーセント化学合成のオイルに交換しましたが、交換した
オイルの粘度指数が10W-40番でした。
メーカーが使用推奨する番手の一つなので使用上の問題はありませんが
「悪くは無いが、んーー?、いまひとつ、いまひとつ」
そんな感じでした。
冷間時にエンジンを始動して直ぐに撮影したのが下の写真です。
エンジンの回転数を覚えておいてくださいね。
エンジンオイルが冷え切った状態でのエンジン始動なので
ファーストアイドルで暖気後のアイドリングに比べて
エンジン回転が上がっています。
今回入れるのが「0W-20」番のこいつです。
このエンジンオイルは、尻尾号用に取り寄せたもので、
同時にオイルエレメントも交換します。
こちらはBMWのバイク用に用意してある100パーセント化学合成の
エンジンオイルです。
尻尾号に入れるオイルに比べると、番手の番号が
15W50で大きいです。
但し、このオイルは性能的には凄く良くて好きですが、
すべてのBMWに入れる訳では有りません。
理由はエンジンの合わせ目や、シール類からのオイルの「にじみ」が
出やすく、にじんで出たオイルにゴミや ほこり が付着して
黒く汚れやすいからで、そのことを理解できる方にはお勧めです。
浸透力が高いので、細かな隙間にまで入り込み、結果として
にじんで来るようです。
右側の1リットルボトルはミッションやファイナルギアに使う
ギアオイル(ミッションオイル)で、こちらは鉱物油です。
ギアオイルにも100パーセント化学合成オイルも出ています。
今回、一緒に購入していますが、エンジンオイルと同時に
交換してしまうと、オイルの変更の効果が、どちらの効果なのかが
分からなくなるので、尻尾号のミッションオイルの交換は
後日に予定しています。
「くるまがおちないように、こていしてね」
『分かってるワイッ!! いちいち付きまわるナッ!!』
「しっぽまいてるから、ゆるして」
交換前のエンジンオイルの色です。
エンジンのオイルパンは写真上の黒い部分で、
アルミ色したのがミッションとデフで、次回アルミの部分の
ミッションオイルを交換しますが、今回は黒い部分の
エンジンオイルです。
同時にオイルエレメントも交換です。
使用前、使用後のオイルエレメントと取り外し用の工具です。
オイルを抜き取り、これを組み付けて、新しいオイルを入れて
エンジンを始動します。
始めに出てきたタコメーターのエンジン回転と比べてみてください。
ほぼ同じ条件で撮影したつもりですが、決定的に違う条件は
エンジンオイルの粘度指数です。
0W-20と10W-40での比較です。
銘柄は違いますが、共に100パーセント化学合成オイルで、
製造メーカーも同じです。
これくらいの回転差が出るのです。
これがどれくらいの違いかと言いますと・・・・
いつもの近所の坂道です。(写っているバイクは今回のブログに関係ありません)
ここを同じように走ると、軽トラックの尻尾号は3速で登るか、
2速に落とさなければ登らないかの違いで、はっきり分かりました。
エンジン回転で2,000rpm程度の軽自動車のエンジンにしては
低い回転数での走行なので、余裕が無く上がりきれるか、
ギアを落とさなければ登らないかの違いで出たようです。
簡単に2,000回転と書きましたが、
一分間にピストンが2,000回上下するのです。
写真のピストンは何の物か分かりますか?
ホンダCB750の物です。
空冷4気筒OHCですね。
尻尾号のピストンの写真はありませんが、おおむねこの程度の
ピストンとお考え下さい。
尻尾号のエンジンは水冷4気筒でボア、ストロークは56.0mm×66.8mm
だったはずです。
ピストンの上下する移動距離のストロークは66.8mmなので
上下で1回転です。
したがって66.8mm×2=133.6mmで13.36センチです。
13.36センチ×2000=26720センチ=267.2メートルになります。
1分間に267.2メートルピストンがシリンダーの中を移動するのです。
これが時速100キロになると、どのくらいか計算しましょう。
確か時速100キロで5200rpmだったと思うので、
結果は秒速約11.58メートルで、陸上競技の100メートルの
世界記録の速度よりも、速いことになります。
ピストンが移動するときに、シリンダーの壁面に付着した
エンジンオイルを掻き落としていきます。
この時に柔らかいエンジンオイルか、硬いエンジンオイルかで
抵抗が変わってきます。
もちろんその他にも、オイルポンプやクランクシャフト、
カムシャフト、バルブ、ロッカーアームなどのエンジン内の
オイルに触れるすべての部品の抵抗が変わってくるのです。
結果として、柔らかいオイルの方がスムーズな回転上昇が
可能になり、パワーが出るようです。
しかし、柔らかすぎるエンジンオイルは高温時に油膜切れを
起しやすく、夏場などは使用できなかったのですが、
昨今の技術の進歩で0W-20番でも夏場の高速走行にも、
十分使用出来るようになりました。
しかし、すべてのエンジンでこれが当てはまるのではなく、
あくまでも、メーカーが指定しているときに限ります。
尻尾号はメーカー指定で0W-20番が指定されています。
先ごろまで使用していた10W-40も指定でした。
ピストンスピードを比べて見てみましょうか?
R1150Rロードスターのメータですが、
6速アイドリング時の写真です。
1050rpm 時速38キロ、エンジンはボア、
ストロークは101mm×70.5mmですね。
ちなみに R1100Rなどの1100CCエンジンは
ボアだけが違い 99mm×70.5mm でストロークは同じです。
言い換えれば、排気量は違ってもエンジン回転が同じなら
ピストンスピードは 同じと言えます。
おおよそ、2800回転で時速100キロですね。
だとすると時速100キロ時のピストンスピードは
平均で秒速6.58メートルです。
1秒間に6メール以上、ピストンはシリンダーの中を
走っています。
時速に換算すると、時速、約23.7キロです。
平均値で、実際には上死点、下死点付近は速度が落ちるので
早い部分の速度は倍以上になります。
R1150のシリンダーとピストンです。
結構大きなピストンでしょう?
シリンダーです。
この中を先ほどのピストンが時速約24キロで上下します。
この位置が上死点
この位置で下死点
この上下を秒速6.58メートルでピストンが走ります。
現行モデルのR1200シリーズはどの位でしょうか?
グラフはR1200GSのものですが、
6速で時速100キロ時は 3250rpm 程度でしょうか?
計算すると、ボアストロークがR1200GSは101mm×73.0mmで
今度はボア(シリンダーの直径)がR1150と共通で、
ストロークが1150よりも伸びて排気量が増えています。
時速100キロ時のピストンスピードは秒速7.9メートルになるはずです。
R1200GSとR1150GSのエンジン性能曲線の
比較ですが、これを見ていて何か気がつきませんか?
メーカーの書きたいパワーアップは相当なように感じますが・・・
拡大してみました。
約3000回転までは先代モデルの方が、馬力が出ていませんか?
3000回点回せば6速でどの位の速度が出るでしょうか?
時速80キロ程度でしょうか?
この速度までなら、6速で走ればどちらが早いのでしょう?
ここまで書くとR1150GSのような気がしますが、
実はそうではありません。
車重の違い、ギア比の違いなどで実際にはR1200GSの方が
早いですね。
計器測定はしていませんが、感覚的にそう思います。
でもこのエンジンの出力特性の違いは気になりませんか?
R1150GSとHP2を比較したらどうでしょうね?
最後にもう一つ番外編。
イスズ エルフのトラックです。
排気量4334cc
水冷4気筒ディーゼルターボ 直噴
ボアストローク 112mm×110mm
100km/h時点で 2750rpm でした。
ピストンスピードは秒速約10.1メートルで
今回計算した中では尻尾号に次いでピストンスピードが
高いことになります。
低回転で回すディーゼルエンジンですが、意外とピストンは
高速で動いているようです。
まだ興味のある方は船舶エンジンやディーゼル機関車の
エンジンを調べてみてください。
凄いのが出てきますよ。
回転数なんて分速で二桁です。
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ここまで読んでいただいた、あなたはGS好きかもしれませんね。
今回比較したGSは四桁ですが三桁のGSに興味のある方は
珍しいのが入庫しました。
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